ひきこもり備忘録

これってこういうことなのかな?と勝手に思って1人で楽しんでいます。

映画『ハリガン氏の電話』を観た

タイトル:ハリガン氏の電話
原題:Mr. Harrigan's Phone
監督・脚本:ジョン・リー・ハンコック
原作:スティーヴン・キング
配給:Netflixオリジナル映画
アメリカ/2022年制作/105分

あらすじ:大金持ちのハリガン氏の朗読係になったクレイグは、彼と交流していくうちに友人の関係になる。やがてハリガン氏は亡くなるが、遺体と一緒に埋葬したはずのスマートフォンからメッセージが送られてくる。それをきっかけにして、クレイグの周りで不幸な事故が起こり始める。


Netflixオリジナル映画。スティーヴン・キングの短編小説の映像化作品なのだそうです。原作小説の邦訳版はまだ出ていようですね。少年と老人が仲良くなり、死後にではありますが老人は不思議な力(?)を使い……となると、それってアトランティスのこころ上巻ではないか?とも思いました。
かなりライブ感で書くことの多い作家さんでもあるらしいので、根幹のテーマをつきつめていくとシチュエーションが似てくるのかもしれません。今回は「人の多面性」と「若者ならまだ間に合う」「悪の心に打ち勝て」というテーマになるのでしょうか。
クレイグにとっては優しい友人だったハリガン氏。ですが他の人々が語る印象は主人公の知らない悪人の面が多くなっていきます。
クレイグ視点では優しい面しか見せていなかったハリガン氏が、クレイグにとっての障害となる者たちを消していくなんて本当にするのか?と中盤までは疑問に思っていましたが、終盤までいけば彼は本当にやるのだろうなと納得します。これはハリガン氏の一面であり、クレイグの一面でもあります。ハリガン氏は、クレイグが自分に似ていることを見抜き、反面教師としてメッセージを送っていたのではないかと思います。
主人公が一旦悪い道(ハリガン氏)に入るところもアトランティスのこころに似ています。自分の正義とは真逆の性質を自覚し、「私たちめちゃくちゃになっちゃったわね」に成ってしまう(これはアトランティスのこころの方です)。

Netflixオリジナルとして制作されたスティーヴン・キング作品はこれを含めて5作ありますが、どれも話の芯をしっかり持っており、個人的には好きなタイプの映像化だと思います。1作だけ観ていないのでそのうち鑑賞したいです。ただどれも主人公がナレーションする独白タイプの映像化になっており、小説をそのままスライドしたような表現です。次に同著者原作を映像化する際は、もう少し他の表現でも観てみたいと鑑賞側としては思いました。実はこの3作の原作を読んでいない為、映像化の工夫はそれぞれにたくさんあるのだとは思いますが……。