ひきこもり備忘録

これってこういうことなのかな?と勝手に思って1人で楽しんでいます。

B3P ep.3の感想

ジャンプSQ. RISE 2023 SPRING掲載「血界戦線 Beat 3 Peat」の3話目を読んだ感想です。

まだ各話タイトルがつけられていない為、便宜上「ep.3」と表記させていただきます。

 


↓↓↓以下、ネタバレ含みます↓↓↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この調子だと「Beat 3 Peat」では、HLの誕生と秘密結社ライブラの結成についてが読者に明かされていくシリーズになるのでしょうか。

 

  • ep.1
    基本的な設定とメインキャラクターの紹介
  • ep.2
    大崩落を起こした者が出てくる、手段とその食い止めが明かされる
  • ep.3
    HLの作成に関係した(?)者が明かされる、
    メインキャラクターの一人が加入する

 

今のところ各話はこういう感じの内容です。
今回のep.3は時系列的には第1シーズン単行本8巻「幻界病棟ライゼズ」の回想内(大崩落当日)から10日後の出来事です。

 


答え合わせ一部

HLは「再構築」されたという意味がよくわからなかったのですが、今回のエピソードは一部これの答え合わせとなりました。
先に挙げた「幻界病棟ライゼズ」の回想内。大災害が起こっていたはずのN.Y.が突然我々が連載初回から読んできたH.L.の風景へと、建物のみならず住民たちまでもが変貌(出現?)しました。アニメ版だとカットと色と背景も追加されていましたので更にこの変化がわかりやすいです。これって実はそもそも異界人と人間が共生している世界があり、それが何らかのきっかけで出現して混ざってしまったのか?と思っていました。
それが、生き残った異界人と人間たちの認識を何者かが操作していたということが今回明かされたのです。ここまでの災害が起こってからたった3年でシーズン1のep.1の状態になる?でもフィクションだからな…と思ってスルーしていたのですが、理由がありました。

この洗脳状態は今回初登場した「忘却王(アムネス)」と「欺瞞王(バルバロッサ)」の仕業のようです。
忘却王が、「これ以上の苦しみを眺めるのは耐え難い」と泣く。だから欺瞞王は「書き換えた」のだそうです。
泣いていたという忘却王は、ミイラのような赤子の姿をしています。フェムトがこの姿を見て「こんなになるまで…」と漏らしているということは、認識を書き換えたのは欺瞞王ですが、それ以外の「再構築」はこの忘却王によるものなのでしょうか。ものを言わぬミイラになるまで、忘却王が物理的な再構築を行っていた?

 


忘却王とレオ

突飛な発想になりますが、感想ですので思ったことをメモしておきます。

今回のお話で気になったのは忘却王とレオの関係です。
忘却王には眼球がありません。ミイラ化しているからでは?と言われればそうなんですが。

 

「これ以上の苦しみを眺めるのは耐え難いってね」

血界戦線 Beat 3 Peat ep.3より

 

「苦しみを眺め」ることのできる赤子ということなのかな?と思いました。
目というと真っ先に思い出すのが本作の語り部、グレート・ギャッツビーで言うところのニックの役回りを担うレオナルド・ウォッチの存在です。
彼は「神々の義眼」という特殊な眼球を異界の存在に埋め込まれた青年です。神々の義眼は、その目を通して普通ではわからない物事を視たり、他人に視せたりすることのできる万能アイテムです。上記台詞に伴う忘却王の眼窩のアップは、この特殊な目に関係しているキャラクターを彷彿とさせました。
まあ己の周囲だけでも惨状と呼べる状態になっていただろうし、普通にその様子を見て(眺めて)いるのが耐えられなかった、ということかもしれませんし、そっちの可能性が高そうですが。

 

「回復までどれぐらいかかるかな?」

「3年か…5年か…あるいはもっと…」

血界戦線 Beat 3 Peat ep.3より

 

HL出現から3年後はレオがこの街にやって来た頃です。神々の義眼の為にHLにやって来るのですが、これが実はこの忘却王に関係しているのか。
まあこの発言も3年後のドタバタ日常劇にいずれ出演しますよというだけなのだと思いますが。

 

 

レオと洗脳

レオと言えばもうひとつ。
今回のお話で、第1シーズン4巻「Don't forgot to don't forgot me(以下ネジ回)」も思い出しました。
こちらはネジと呼ばれることになる異界人と人間のレオが友人になるエピソードなのですが、今回の話にもレオとネジを彷彿とさせるようなビジュアルの異界人・人間の2人組が出てきます。特に人間の方なんか、アイグラスをしてダボついた服を着て、危険を顧みず友人を助ける…と、かなりレオを彷彿とさせるビジュアルと行動が付与されています。

 

「何すかそれ!?って…お前も随分この街に毒されてきたね」

「そう簡単に分かりあえるもんかよ」

血界戦線 4巻「Don't forgot to don't forgot me」より

 

これはネジ回であった異界人への差別的な話にレオが反応した時のザップの台詞です。今回のお話で、ザップは同じような言葉を上記の2人組にもこぼします。
ネジ回でのザップのこの台詞は今回の話でのザップの発言に繋がるのだと思いますが、それを読者に思い出させるために、2人組をレオ(とネジ)に寄せたのかもしれません。
「この街に毒されてきた」は「この街に洗脳されてきた」という意味なのでしょう。
レオは読者をこの漫画の世界観を無理なく追っていく為に作られた一般人の目線を持つキャラクターなのだと思います。そんな彼の特異性のひとつに、異様な順応性があるというのが挙げられるのですが、実はこれはHL特有のものだったのかもしれません。
とは言え、それでも愚かともとれる強い善性やそこから来る頑固さ、コミュニケーション能力の高さは元から彼が持っているものだと思います。認識を少しずらしただけで他者の懐に入れるところからすると、彼の異様な順応性は元からある特異性なのだとも思います。

ついでにザップの話です。
分かりあえるものかというのは、ザップの根底に常にあるものなのだと思います。これは第2シーズン内でも出てきましたので、3年以上経ってもザップのこの考えはそのままのようです。芯がぶれていないキャラクターは安心します。これが原因でレオと強く対立するようになるのかもしれませんね。そうなると悲しいですが……。

 

以上、今シーズンはHLの秘密やライブラ結成までのお話が多くなりそうですね。
連載開始まで半年ほど空きましたので、時期的には秋頃に単行本も出るかもしれませんね。新シーズンの表紙デザインやあとがきも楽しみです。